メキシコの電子帳簿と税務申告の関係性

はじめに

メキシコでは、税務申告において電子帳簿(Contabilidad Electrónica)の提出が義務化されており、CFDI(電子請求書)やDIOT(IVA取引明細)と密接に結びついています。本記事では、日本企業の駐在員や経理担当者が押さえておくべき電子帳簿と税務申告の関係性を基礎から整理します。

サマリー

  • 電子帳簿はCFF第28条に基づき必須提出義務がある。
  • CFDI(CFF第29条・第29-A条)やPedimentoとの紐付けが不可欠。
  • ISR・IVA申告およびDIOT提出(毎月17日まで)と直結している。
  • CFDIの取消・不一致や帳簿未送信は、CFF第82条の罰則対象となるリスクがある。

詳細

電子帳簿の内容: 会計科目表(Catálogo de cuentas)、仕訳帳(Pólizas)、補助簿(Auxiliares)などをXML形式で作成し、翌々月の3営業日以内にSATに送信が必要です。

申告との接続: 電子帳簿はISR(法人税)、IVA(付加価値税)、DIOT(IVA仕入税額控除の報告)と連動しており、特にDIOTは翌月末までに提出が必要です。

リスク補足: CFDIの取消・未発行、またはPedimento番号不一致は、仕入税額控除やゼロ税率適用を否認され、追徴課税を受ける可能性があります。

誤解と理解

  • 誤解:電子帳簿は大企業のみ必要 → すべての法人が対象(CFF第28条)。
  • 誤解:DIOTは任意提出 → 提出義務があり、期限は翌月末。
  • 誤解: CFDIがあれば帳簿提出は不要 → CFDIと帳簿の整合性が不可欠。

チェックリスト

  • 電子帳簿のXML形式データを準備しているか?
  • CFDIと帳簿の紐付けを確認しているか?
  • ISR・IVA・DIOTの申告期限を管理しているか?
  • CFDI取消やPedimento不一致による否認リスクを把握しているか?

まとめ

電子帳簿は、メキシコ税務申告の根幹をなす制度であり、CFDIやDIOTと一体的に運用する必要があります。特に提出期限やCFDIの取消リスクに留意し、社内で適切に管理することが重要です。

本記事は、「日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤」を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。

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リソース:

  • CFF第28条・第29条・第29-A条・第31条・第82条
  • SAT公式ガイド:https://www.sat.gob.mx/
  • LISR・LIVAに基づく税務申告関連規定