費用認識の原則|メキシコ会計の損益対応ルール
1. はじめに
費用認識は、損益計算書を正しく作成するための出発点です。メキシコ会計基準(NIF)でも日本基準・IFRSと同様、費用は発生主義で認識します(NIF A-2/A-5)。本稿は基礎として、費用収益対応・期間配分・税務との接点を整理します。
2. 費用認識の基本ルール(NIF)
- 費用収益対応:収益獲得に対応する費用を同期間に認識します。例)販売費(広告費)、製造原価(原材料費・直接人件費)、一般管理費(オフィス賃料)など。
- 発生主義:現金の支出ではなく、経済的事象の発生時点で認識(NIF A-2/A-5)。
- 期間配分:複数期間にわたるサービスや使用料は、便益の期間で按分。
3. 日本基準・IFRSとの比較(基礎)
- IFRS:費用は「収益との対応」や「資産の減少」に基づく(IAS 1)。
- 日本基準:発生主義が基本だが、税務では現金主義的取扱いが残る項目もある。
- NIF:上記と実務上の考え方は概ね整合。
4. 実務での留意点(基礎)
- 前払費用:当期の便益に該当しない部分は資産計上し、翌期以降で費用化(NIF C-5)。
- 未払費用:発生済で未払のものは負債計上(NIF C-9)。
- 税務の損金算入:会計で費用でも税務で損金不算入の場合があります。典型例:CFDI(電子請求書)がない支出は損金にできない(メキシコ所得税法、第27条)。交際費の一部や過大な役員報酬も不算入となる場合あり(所得税法第27条)。
まとめ
費用認識は費用収益対応と発生主義が軸です(NIF A-2/A-5)。会計処理が正しくても、税務上はCFDI要件など損金算入要件(所得税法第27条)を満たす必要がある点に注意しましょう。
本記事は「日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤」を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。
リソース欄
- NIF A-2/A-5、NIF C-5(前払)・C-9(負債)
- IFRS(IAS 1 Presentation of Financial Statements)
- メキシコ所得税法(Ley del ISR 第27条)
