損金算入の基本ルール|必要経費と証憑要件

はじめに

メキシコでは、会社が支出を税務上の経費(ISRの損金算入)にできるか、またはIVA(付加価値税)の仕入税額控除を認めてもらえるかは、すべてCFDI(電子請求書)支払方法・関連性の条件にかかっています。
本稿では基礎編として、最低限知っておくべき仕組みをシンプルに整理します。

サマリー

  • ISR損金算入:CFDI+事業関連性+非現金決済(一部費目必須)(LISR第27条)
  • IVA仕入控除:CFDI+課税関連性+支払済(LIVA第5条)
  • PUE/PPDの違い:PUEは即時、PPDは補助CFDI(Complemento de pago)を受領してから控除可

ISR(法人税)の基礎

  • 損金算入の条件:実在性・事業関連性・有効なCFDI(LISR第27条、CFF第29条)
  • 燃料や高額支出:銀行振込やカードなど非現金で支払う必要あり(LISR第27条III)
  • 違反時:損金否認や罰則リスク(CFF第81条・第82条)

IVA(付加価値税)の基礎

  • 控除の三要件:①CFDI、②課税関連性、③支払済(LIVA第5条)
  • PPD(後払い)の場合:入金ごとに補助CFDI(Complemento de pago)が必須
  • 輸入取引:PedimentoでIVAを立証。DIOT(仕入情報提出)とも整合させる必要あり

PUEとPPDの違い

支払形態控除できるタイミング必要書類
PUE(一括支払)請求CFDI受領時CFDI(Ingreso)
PPD(後払い・分割)入金ごとに補助CFDI受領後CFDI(Ingreso)+補助CFDI(Pago)

よくある誤解と正しい理解

  • 誤解:「CFDIがあればいつでもIVA控除できる」→ 支払済が必要。PPDは補助CFDIが条件。
  • 誤解:「現金払いでも全て損金にできる」→ 燃料などは非現金決済必須。
  • 誤解:「DIOTを出せば証憑は不要」→ DIOTは集計資料であり、CFDIが前提。

チェックリスト

  • □ 各取引で正しいCFDIを回収しているか
  • □ 損金算入の非現金要件(燃料・高額取引)を満たしているか
  • □ IVA控除の三要件(CFDI・関連性・支払済)を確認しているか
  • □ PPD取引では補助CFDIを受領済みか
  • □ 輸入IVAはPedimento、DIOTと突合しているか

まとめ

メキシコ税務の基礎は「CFDI+関連性+支払済」の三本柱です。ISRの損金算入では非現金決済要件、IVAの仕入控除では補助CFDIの有無がポイントになります。また、日々の経理でCFDI管理と支払条件を徹底することが、追徴や否認リスクを防ぐ最短ルートです。

本記事は『日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤』を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。

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リソース

  • LISR第27条・第27条III(損金算入の要件)
  • LIVA第5条(仕入控除の要件)
  • CFF第29条・第29-A条(CFDI要件)、第31条(情報提出義務)、第81条・第82条(罰則)