売掛金管理の基礎|回収リスクと会計処理の全体像

はじめに

売掛金(Cuentas por cobrar)は、企業が商品やサービスを販売した後、顧客から代金を受け取る権利を表す資産です。メキシコの子会社経理においても、売掛金の管理は資金繰りと財務の健全性を左右する重要な業務です。適切な管理がなされない場合、貸倒リスクや監査上の指摘につながります。

売掛金管理の基本

  • 売掛金の発生:商品やサービスを提供し、CFDI(Comprobante Fiscal Digital por Internet)を発行した時点で売掛金が認識されます。
  • 回収管理回収サイトを設定し、入金期日を明確化することで資金繰りを予測します。
  • 消込作業入金と請求書の対応付けを正確に行うことが監査対応でも必須です。

回収リスクと会計処理

  • 回収不能リスク:顧客の倒産や支払遅延による貸倒リスクを常にモニタリングする必要があります。
  • 貸倒引当金:NIF C-9「Pasivos, Provisiones」に基づき、回収不能見込額を合理的に見積もり計上します。
  • 税務上の要件:CFF第31条およびISR法に基づき、貸倒控除を行うにはCFDIのキャンセルや督促状、法的手続きなど証憑が必要です。

実務上の留意点

  • 与信管理:新規顧客との契約前に財務状況を確認し、信用限度額を設定する。
  • 帳簿管理:売掛金台帳と総勘定元帳の突合を毎月行い、不一致を防ぐ。
  • 内部統制:請求書発行、入金確認、消込作業を別担当者が行うことで不正防止を図る。

まとめ

売掛金管理は「回収リスクの監視」「会計処理の適切性」「税務証憑の整備」の3点が柱となります。適切な管理を行うことで資金繰りの安定性を高め、貸倒リスクを最小限に抑えることが可能です。

本記事は、「日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤」を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。


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【リソース】
- NIF C-9「Pasivos, Provisiones」
- Código Fiscal de la Federación(CFF)第31条