固定資産会計の基礎|減価償却ルールと法定耐用年数
1. はじめに
固定資産会計は、企業の財務健全性を示す重要な領域です。メキシコでは、会計基準(Normas de Información Financiera, NIF)と税務基準(Ley del ISR)の双方に減価償却の規定があり、資産ごとに耐用年数や法定償却率が定められています。本記事では、固定資産・減価償却の基本的な仕組みと、実務で必須となる資産台帳管理のポイントを入門的に整理します。
2. 固定資産と減価償却の基本
- 固定資産の範囲:建物、機械設備、車両、家具備品など、長期利用を目的とする資産。
- 減価償却の目的:使用や時間の経過に伴う価値の減少を、耐用年数にわたり費用配分すること。
3. 法定耐用年数と税務ルール
- 会計基準:経済的耐用年数を見積もり、合理的な方法で費用配分。
- 税務基準:ISR法により資産区分ごとに法定償却率が規定(例:建物5%、機械10%、車両25%、コンピュータ30% など)。
- 差異管理:会計と税務で異なる場合は調整計算を行う。
4. 固定資産台帳管理
- 必須情報:取得日、取得価額、耐用年数、償却方法、残存価額、資産所在地。
- 税務要件:台帳と会計帳簿の整合、CFDI(電子請求書)との紐づけ。
- 更新体制:取得・除却・売却の都度、速やかに台帳更新。
まとめ
固定資産の管理と減価償却は、会計上の合理性と税務上の法的要件を両立させることが重要です。特にメキシコでは、ISR法に基づく法定耐用年数を前提に処理を行い、会計基準との差異は調整計算で管理する必要があります。まずは資産台帳を整備し、取得・売却・除却の都度、CFDIと紐づけて更新する体制を整えることが、日系企業にとって実務の第一歩となります。
本記事は、『日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤』を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。
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リソース欄
- メキシコISR法(Impuesto Sobre la Renta)
- 会計基準(NIF B-10 固定資産)
