前払費用と未払費用の扱い|期末調整の基本
1. はじめに
前払費用と未払費用は、決算整理仕訳で頻出のテーマです。メキシコ会計基準(NIF)では、発生主義に基づいて正しく区分・計上することが求められます。本稿は入門として、考え方と期末調整の基本をわかりやすく整理します。
2. 前払費用の扱い(NIF)
- 定義:当期に支払ったが、便益が翌期以降に及ぶ費用。
- 会計処理:資産計上し、便益期間に応じて費用化(NIF C-5)。
- 例:翌期分の保険料、翌期以降の賃借料 など。
仕訳例(わかりやすい例):
12月に翌年1年分の保険料120,000ペソを支払った場合、当期分(例:20,000)だけ費用、残りは前払費用。
(借方)前払費用 120,000 /(貸方)現金 120,000
決算整理で当期分20,000を費用振替:
(借方)保険料 20,000 /(貸方)前払費用 20,000
3. 未払費用の扱い(NIF)
- 定義:当期に発生しているが、まだ支払っていない費用。
- 会計処理:負債計上し、翌期の支払時に消す(NIF C-9)。
- 例:未払給与、未払利息、未払賃借料 など。
仕訳例(わかりやすい例):
12月分の給与200,000ペソを翌年1月に支払う場合の期末仕訳:
(借方)給与費用 200,000 /(貸方)未払費用 200,000
翌期支払時:
(借方)未払費用 200,000 /(貸方)現金 200,000
4. 税務上の留意点(基礎)
- CFDI要件:会計で費用でも、CFDI(電子請求書)がない支出は損金にできません(メキシコ所得税法、第27条)。
- 未払賞与の例:会計上は費用計上しても、年内にCFDIを発行していないと税務上は損金不算入。
⇒ 税務申告書で「加算」調整が必要(所得税法第27条)。
まとめ
前払費用と未払費用は、発生主義に沿って適切に計上するのが基本(NIF C-5/C-9)。加えて、税務ではCFDIなど損金算入の要件(所得税法第27条)を満たしているかを確認し、満たさない場合は申告書で加算する、と覚えておくと実務で迷いません。
本記事は「日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤」を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。
リソース欄
- NIF C-5(前払)、NIF C-9(負債)
- IFRS(IAS 1 Presentation of Financial Statements)
- メキシコ所得税法(Ley del ISR 第27条)
