メキシコ税務申告カレンダー|月次・年次の主要期限
はじめに
メキシコの税務の中心は、月ごとの電子申告と年1回の確定申告です。そのため、会計処理・税務申告・CFDI(電子請求書)の発行と管理を、常に一体で運用することが欠かせません。特に重要なのは、毎月の期限と年次の締切をひと目で把握することです。主要な申告・納付スケジュールを一覧で整理しておくと、抜け漏れを防ぎ、実務がスムーズに回ります。
サマリー
- 月次:仮払ISR(法人税)、IVA(月次申告・仕入控除はCFDI+支払済が原則)、給与ISR源泉、DIOT(仕入VAT情報提出)を忘れず実施。
- 年次:法人ISRの確定申告は翌年3月末が提出期限。
- 証憑:各申告・損金算入の前提はCFDIの適正発行・受領。
月次の主要申告義務
- 仮払ISR:月次で所得に基づく前払い(LISR第14条)。
- IVA(付加価値税):月次申告・納付。仕入控除はCFDIの保存と支払済が前提(LIVA第5条、CFF第29条)。
- 給与ISR源泉:給与支払時の源泉・月次納付、CFDI de nóminaの発行義務(LISR第96条・第99条、CFF第29条)。
- DIOT:仕入VAT相手先明細の提出(SAT所定様式)。
年次の主要申告義務
- 法人ISR確定申告:課税所得確定・控除・繰越欠損反映。翌年3月末が提出期限(LISR第9条・第14条・第25条・第57条 ほか)。
- 各種情報提出:該当企業は移転価格関連等の年次報告(LISR第76条・第76-A条)。
申告カレンダー
| 区分 | 主な手続き | 目安期限 | 根拠(条文) |
|---|---|---|---|
| 月次 | 仮払ISR | 原則翌月17日 | (LISR第14条) |
| 月次 | IVA申告・納付(仕入控除はCFDI+支払済) | 原則翌月17日 | (LIVA第5条、CFF第29条・第29-A条) |
| 月次 | 給与ISR源泉の納付/CFDI de nómina発行 | 原則翌月17日 | (LISR第96条・第99条、CFF第29条) |
| 月次 | DIOT提出(仕入VAT明細) | 翌月末 | (SAT様式運用) |
| 年次 | 法人ISR確定申告 | 翌年3月末 | (LISR第9条・第14条・第25条・第57条) |
よくある誤解と正しい理解
- 誤解:CFDIがあれば仕入IVAは必ず控除できる。
→CFDIに加え支払済が原則(LIVA第5条)。 - 誤解:年次ISR(法人税)の期限は会社ごとに任意。
→翌年3月末まで(LISR上の年次確定)。 - 誤解:給与CFDIは任意。
→発行義務あり。損金算入・源泉実務の前提(LISR第27条・第99条、CFF第29条)。
まとめ
メキシコの税務コンプライアンスを安定して運用するには、月次の4大義務(仮払ISR・IVA・給与ISR源泉・DIOT)と、年次のISR確定申告(翌年3月末)を正しく押さえることが不可欠です。いずれの申告・控除もCFDIの適正発行・受領と、支払済みの確認が前提条件となります。日本と異なり「月次申告」が中核であるため、会計・税務・CFDIの3要素を一体で回す仕組みを構築することが、日系企業にとって最も重要なポイントです。申告カレンダーを活用し、期日管理を徹底することで、抜け漏れのない実務運営につながります。
本記事は、「日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤」を目的に作成しています。
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リソース
- (法令)LISR第9条・第14条・第25条・第57条・第76条・第96条・第99条
- (法令)LIVA第5条|CFF第29条・第29-A条
