INFONAVIT住宅基金制度の全体像|企業負担の仕組み

はじめに

本記事は、メキシコの住宅基金制度INFONAVITの基礎(企業拠出5%、従業員ローン控除、申告・納付・証憑)を最短で把握するための入門ガイドです。人事・経理の初任者でも実務に着手できるよう、条文根拠とチェックリストを最小限で整理します。

サマリー

  • 企業拠出: 従業員の「賃金算定基礎(SBC)×5%」を隔月で拠出(Ley del Infonavit 第29条・第30条)。
  • 期限目安: 偶数月分を翌奇数月17日までに納付(実務運用)。
  • ローン控除: Aviso de Retención/Suspensiónに基づき給与から控除。方式は固定額/賃金比率/UMA連動の3類型。
  • 証憑・突合: 給与CFDI、INFONAVIT通知、台帳(SBC・控除額)を三点突合。CFDIの要件はCFF第29条・第29-A条
  • 遅延・不足納付: 更新(Actualización)+加算税(Recargos)+罰金の対象(Ley del Infonavit 第40条、CFF罰則体系)。

詳細(制度・計算・手続)

1) 制度の位置づけと法源

  • 住宅取得支援のための強制拠出制度(Ley del Infonavit)。
  • 企業の拠出義務と徴収・制裁は同法第29条・第30条・第40条に基づく。

2) 企業拠出(5%)とミニ計算例

計算式: 月間SBC総額 × 5% × 2か月(隔月分)。

  • 例: 従業員10名、月間SBC合計が200,000ペソの場合
    偶数月分の拠出額 = 200,000 × 5% × 2 = 20,000ペソ

3) 従業員ローン控除方式(3類型)

  • 固定額: 毎賃金期間あたり一定額を控除(通知に金額明記)。
  • 賃金比率: SBCや給与額の一定%を控除。
  • UMA連動: UMA×係数で算出。UMA改定に連動し毎年見直しが必要。

実務ポイント: 方式はAvisoに明記。改定通知やUMA改定時は控除額を即更新。

4) 申告・納付フローと期限

  1. 隔月(偶数月)分の拠出額を集計
  2. ポータルで申告・納付手続(翌奇数月17日目安)
  3. 受領確認・台帳更新・会計仕訳

5) 証憑と三点突合

  • 給与CFDI(CFF第29・29-A):控除額・概念の整合。
  • Aviso(Retención/Suspensión):対象者・方式・金額の根拠。
  • 社内台帳:SBC、控除額、納付額の推移を管理。

6) 遅延・不足納付時の取扱い

  • 更新+加算税: 物価更新(Actualización)と利息相当の加算税(Recargos)が付加(Ley del Infonavit第40条)。
  • 罰金: 提出遅延・不履行はCFFの罰則体系(一般に第81条・第82条)が参照され得る。

7) よくある実務エラー

  • UMA改定後に控除額を更新せず差異発生。
  • Aviso未反映で控除不足→差額追徴・遅延付加。
  • CFDI概念の誤設定で控除・納付と不一致。

誤解と正しい理解

  • 誤解: ローンがない従業員には管理不要。
    →ローン有無に関わらず拠出5%は全員分で必要。
  • 誤解: Avisoがなくても推測で控除して良い。
    →控除はAvisoに基づく。推測控除は不可。
  • 誤解: 遅延してもすぐ払えば追加負担はない。
    →遅延には更新+加算税+罰金が付く(同法第40条、CFF罰則)。

チェックリスト

  • 従業員SBCを最新に更新(入退社・昇給・福利変更を反映)。
  • 偶数月締めで5%×2か月を集計。
  • Avisoの方式(固定額/比率/UMA)と金額・期日を確認。
  • 給与CFDIの控除概念・金額と台帳・納付額を突合。
  • 納付期限(翌奇数月17日目安)をスケジュール化。
  • 遅延発生時は更新・加算税を計算し速やかに是正。

まとめ

INFONAVITは企業拠出5%Avisoに基づく給与控除が柱です。SBC・Aviso・給与CFDIの三点突合と、UMA・期日管理を仕組み化すれば、調査時の差額・加算税リスクを大幅に抑制できます。
本記事は、「日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤」を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。

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リソース:

  • Ley del Infonavit:第29条・第30条・第40条(拠出・徴収・制裁)
  • CFF:第29条・第29-A条(CFDI要件)、第81条・第82条(一般罰則)