資本金取引の会計処理|増資・減資の基本ルール

1. はじめに

資本金取引は、企業の財務構造に直結する重要テーマです。メキシコでは会計・税務・法務の観点が絡み合うため、基礎概念を押さえておくことが将来のリスク低減に有効です。

2. 増資の会計処理

  • 計上タイミング:出資の払込が完了した時点で資本金に計上(NIF C-11)。
  • 払込未収:払込が未了の金額は資本金から控除して表示。
  • 外貨払込:定款の為替規定に従い、規定がなければ法定レートを適用(CFF第20条)。

3. 減資の会計・税務の要点

  • みなし配当課税の可能性:減資は税務上、配当に該当する部分が生じうる(所得税法:ISR法第78条)。
  • 判断に用いる2つの口座:
    • CUCA:払込資本や払込プレミアムの累積を管理する口座。資本の返還かどうかを判断する基準(ISR法第89条)。
    • CUFIN:税務上の留保利益を管理する口座。利益の分配かどうかを判断する基準。
    減資額がCUCA残高を超え、かつCUFIN残高が不足する部分は、課税対象の「みなし配当」となり得ます(ISR法第78条)。

4. 実務でのチェックポイント

  • 法務手続:増資・減資はいずれも定款変更・登記が伴う。形式不備はリスク。
  • 連結・本社報告:日本本社の基準と整合するよう、仕訳・証憑・登記の一貫管理。
  • 証憑管理:払込証憑、株主決議、定款改定、登記事項の保管を徹底。

まとめ

増資は「払込完了=資本金計上」(NIF C-11)、減資は「CUCA/CUFINを軸にみなし配当の有無を判定」(ISR法第78条・第89条)が基本です。外貨払込は定款と法定レートの確認を忘れずに(CFF第20条)。基礎を押さえることで、手続・会計・税務の連携がスムーズになります。

本記事は、Miranexus Visionary Partner S.A. de C.V.(MVP)が「日本企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤」を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。

リソース欄

  • NIF C-11(資本)
  • メキシコ連邦税法(CFF第20条:為替)
  • メキシコ所得税法(ISR法第78条:減資とみなし配当、ISR法第89条:CUCA)

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