就業規則(Reglamento Interior de Trabajo)の基礎
はじめに
メキシコでは、就業規則(Reglamento Interior de Trabajo)は単なる社内ルールブックではなく、従業員への指揮命令や懲戒処分を行うための「唯一の法的根拠」です。本記事では、連邦労働法(LFT)に基づく作成義務、必須となる労使混成委員会、そして当局(CFCRL)への登録実務について解説します。
サマリー
- 就業規則は、企業と従業員の双方が守るべき義務を定めた文書であり、作成と登録が義務である。
- 作成には、会社と労働者の代表による「混成委員会(Comisión Mixta)」の結成と合意が必要となる。
- 現在は地方当局ではなく、連邦和解登録センター(CFCRL)への登録が必須となっている。
- 適正に登録されていない規則に基づく懲戒処分(出勤停止等)は、無効とみなされるリスクが高い。
詳細
法的要件と混成委員会:
LFT第424条に基づき、就業規則は会社が一方的に作成するものではありません。必ず「労働者代表」と「会社代表」から成る混成委員会(Comisión Mixta)を設置し、条項について合意の上、双方が署名する必要があります。
記載すべき主要項目(LFT第423条):
主に以下の事項を網羅する必要があります。
- 始業・終業時刻、休憩時間、食事時間
- 給与支払いの場所と日時
- 健康診断および安全衛生に関する規定
- 懲戒規定と制裁の適用手順(※無給出勤停止は最大8日まで)
登録機関の変更(重要):
2019年の労働法改正により、登録先は従来のJunta(調停仲裁委)から、連邦和解登録センター(CFCRL)へ変更されました。オンラインでの登録手続きが標準化されています。
誤解と理解
- 誤り:「就業規則は社内の壁に貼っておけばよい」
→ CFCRLへの登録が効力発生要件です。未登録のままでは法的な強制力を持ちません。 - 誤り:「日本本社の規則を翻訳して使えばよい」
→ メキシコ労働法(LFT)には特有の必須項目(椅子を用意する義務など)があり、現地法への適合が不可欠です。 - 誤り:「懲戒ルールは後から決めればよい」
→ 規則に明記されていない理由での懲戒処分は不当とみなされます。トラブル防止のため詳細な記述が必要です。
チェックリスト
- 混成委員会(Comisión Mixta)を結成し、議事録を作成しているか。
- LFT第423条が定める法定記載事項を網羅しているか。
- 懲戒処分(出勤停止等)の上限や手続きが明記されているか。
- 連邦和解登録センター(CFCRL)への登録手続きが完了しているか。
- 登録済みの就業規則を社内に掲示、または従業員に配布しているか。
まとめ
就業規則は、従業員を管理・監督するための「法的武器」です。混成委員会の形式を経てCFCRLへ登録することで初めてその効力を発揮します。未整備の状態は経営上の大きなリスク要因となるため、早期の対応が必要です。
本記事は、『日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤』を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。
関連記事:
リソース:
- メキシコ連邦労働法(LFT)第422条〜第425条
