交際費・寄付金の取り扱い|損金算入の可否
はじめに
メキシコでの経費処理では、交際費(Gastos de representación)と寄付金(Donativos)の扱いが重要です。どちらも安易に損金に算入すると否認される可能性があり、正しい区分と証憑管理が不可欠です。本記事では、基礎編として法令根拠と最低限の実務ポイントをわかりやすく整理します。
結論サマリー
- 交際費: 原則として損金不算入(LISR第28条I)。ただし、福利厚生費や広告宣伝費として分類できる場合は控除可。
- 寄付金: SAT認可団体(Donatarias autorizadas)への寄付のみ損金算入可能。課税所得の7%が上限(LISR第27条)。
- 証憑要件: 有効なCFDIおよび寄付証明書の取得が必須(CFF第29条・第29-A条)。
交際費の取扱い
交際費は、原則としてLISR第28条Iにより損金算入できません。ただし、取引先との接待費用などでも、福利厚生費(Gastos de previsión social)や広告宣伝費(Publicidad)と明確に位置付けられる場合は、控除が認められることがあります。分類を誤ると損金否認リスクがあるため注意が必要です。
寄付金の取扱い
LISR第27条では、認可団体(Donatarias autorizadas)への寄付のみが損金算入対象となり、課税所得の7%が限度です。例えば、課税所得が100万ペソの場合、最大7万ペソまで控除可能です。
寄付を行う際には、SATの公式リストで対象団体を確認し、CFDI de donativo(寄付CFDI)を取得する必要があります。
証憑要件
- 有効なCFDIの発行(CFF第29条・第29-A条)
- 寄付金の場合はSAT認可団体によるCFDIおよび寄付証明書
- 交際費を福利厚生・広告宣伝として処理する場合も、契約書や規程に基づく合理的な証憑が必須
誤解と正しい理解
- 誤解: 社内規程があれば交際費も全額控除できる。
正しい理解: 交際費は原則不算入。福利厚生費・広告宣伝費に区分できる場合のみ控除対象。 - 誤解: 認可団体でなくても寄付は損金算入可能。
正しい理解: SAT認可団体への寄付のみ、課税所得の7%を上限として控除可能。
チェックリスト
- 交際費は福利厚生・広告宣伝に該当するか確認したか?
- SAT認可団体リストを確認し、寄付先が掲載されているか?
- CFDI・寄付証明書を取得・保存しているか?
- 寄付金が課税所得の7%を超えていないか?
まとめ
交際費は原則として損金算入できず(LISR第28条)、福利厚生費や広告宣伝費として合理的に位置付けられる場合に限り控除が認められます。
寄付金はSAT認可団体への寄付のみが損金算入対象で、課税所得の7%が上限(LISR第27条)です。
いずれも CFDIの取得と証憑整備が前提条件 であり、基準を満たさない場合は損金否認や加算税リスクにつながります。会社規程や契約書と照合しながら慎重に区分・管理することが実務の要点です。
本記事は、「日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤」を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。
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リソース
- SAT公式サイト(Donatarias autorizadasリスト):https://www.sat.gob.mx/(参照日:2025年9月)
- LISR第27条・第28条
- CFF第29条・第29-A条
