メキシコ労務制度の全体像|日本との違いを理解する

はじめに

メキシコの労務制度は、日本と大きく異なる特徴を持ちます。特に労働法(Ley Federal del Trabajo, LFT)は労働者保護を強く意識しており、日本企業が進出する際に誤解しやすい部分も多く存在します。本記事では、基本的な構造と日本との違いを整理し、実務対応に役立つ基礎知識をまとめます。

サマリー

  • メキシコの労務制度は労働者保護が強い点が特徴(憲法第123条)。
  • 労働契約・労働時間・賃金・休暇について詳細な規定があり、違反には制裁がある。
  • 日本との大きな違いとして、解雇規制の厳しさ・最低賃金の法定改定・年次賞与(Aguinaldo)の義務が挙げられる。
  • 外国人雇用には別途移民法の要件が適用される。

詳細

制度の基本枠組み:
メキシコでは労働者の権利が憲法第123条および労働法(LFT)で定められています。特に解雇規制、最低賃金、年次賞与、労働時間などは詳細に規定され、企業はこれを遵守する義務があります。

日本との違い:
日本では裁量労働や解雇自由度が一定認められていますが、メキシコでは解雇の正当理由が限定され、違反時には補償金(Indemnización)の支払い義務があります。また、日本では年末賞与は慣習的制度ですが、メキシコではAguinaldo(年次賞与)が法定義務(LFT第87条)です。

誤解と理解

  • 誤り:「日本と同じように解雇は自由にできる」
    → メキシコでは正当理由なし解雇は禁止であり、補償金が必要。
  • 誤り:「最低賃金は目安に過ぎない」
    → メキシコでは毎年改定され、必ず遵守すべき水準。
  • 誤り:「ボーナスは任意」
    Aguinaldo(年次賞与)は法定義務であり、毎年12月20日までに支払う必要がある。

チェックリスト

  • 労働契約はLFTに準拠して締結しているか。
  • 就業規則(Reglamento Interior de Trabajo)を作成・登録しているか。
  • 労働時間・残業規制を守り、正確に給与計算しているか。
  • AguinaldoやPTU(利益分配)など法定給付を支給しているか。
  • 外国人雇用時にビザ・移民法の要件を確認しているか。

まとめ

メキシコの労務制度は日本と大きく異なり、特に解雇規制・最低賃金・賞与の義務など企業に直接影響する制度が多く存在します。制度の誤解を防ぐためには、まず全体像を理解することが不可欠です。

本記事は、「日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤」を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。

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リソース:

  • メキシコ連邦労働法(Ley Federal del Trabajo, LFT)第87条
  • メキシコ憲法第123条