メキシコの外部監査制度|監査義務と監査人の役割
1. はじめに
メキシコでは、一定の条件を満たす企業に対し外部監査の実施が義務付けられています。監査は財務諸表の信頼性を高め、利害関係者に対する透明性を確保するための重要な制度です。本記事では、監査義務の条件と監査人の役割を基礎的に整理します。
2. 監査義務の条件
- 規模基準:売上高・資産規模・従業員数などが一定基準を超えると外部監査が義務。
- 上場企業:証券取引所に上場している企業は原則必須。
- 規制業種:金融機関など一部業種は規模にかかわらず監査義務となる場合あり。
3. 監査の種類(基礎)
- 財務諸表監査(Estados Financieros Auditados):出資者・金融機関など利害関係者に対し、財務諸表の適正性と信頼性を担保するための監査。
- 税務監査(Dictamen Fiscal):SAT(税務当局)に提出し、税務コンプライアンスを確認するための監査(規模・業種により義務/任意)。
4. 監査人の資格と役割
- 資格要件:IMCP(メキシコ公認会計士協会)登録の公認会計士(Contador Público Certificado)。
- 独立性:監査人は被監査会社から独立した立場で意見表明を行う必要があります。
- 主な役割:財務諸表の適正性に関する意見表明、内部統制・税務コンプライアンスに関する助言(必要に応じて)。
5. 実務でのポイント(基礎)
- 監査対象の有無確認:自社が監査義務に該当するかを早期に判定。
- 監査人の選定:資格・経験・独立性を踏まえて適切に選任。
- 準備体制:期中から必要資料を整理し、監査手続をスムーズに進める。
まとめ
外部監査は単なる法的義務にとどまらず、企業の信頼性向上につながる重要な仕組みです。基礎として、監査義務の条件・監査人の資格と役割、そして財務諸表監査と税務監査の違いを押さえ、自社が対象となるかを早めに確認しておくことが重要です。
本記事は、Miranexus Visionary Partner S.A. de C.V.(MVP)が「日本企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤」を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。
