現金出納帳管理のルール|小口現金の扱い方
はじめに
小口現金(Caja chica)は、日常的な少額経費を処理するための仕組みです。メキシコでは、CFDI(電子請求書)がない支出は原則として損金算入できないため、現金支払いの利用範囲は限定されます。それでも交通費や軽微な消耗品など、銀行振込が現実的でない場合に活用されます。
小口現金の基本ルール
定額法(Fondo fijo)
- 一定額(例:1,000ペソ)を設定し、支払後に領収書(CFDI)を添付して補充する方式。
- 補充時の仕訳例: 借方:各経費 / 貸方:銀行
変動法(Fondo variable)
- 使用額をその都度費用計上し残高が変動する方式。
- 管理が複雑になりやすく、実務では定額法が主流。
内部統制の要点
- 領収書添付(CFDI必須):証憑がない支出は損金不算入のリスク。
- 承認フロー:支払前の上長/経理承認と職務分掌の徹底。
- 定期照合(Conciliación):出納帳と現金残高の一致確認。
- SATポータル照合:受領CFDIの定期照合で不備や取消を早期発見。
実務での留意点
- CFDIのない支出は税務調査で否認されやすい。
- 監査指摘の典型:領収書不足、承認印欠落、残高不一致。
- 本社報告:小口現金残高は月次決算のBS残高と必ず一致させる。
まとめ
小口現金は便利な一方で、CFDI要件・内部統制・定期照合の徹底が不可欠です。定額法を基本に承認フローと台帳管理を整備し、税務否認や不正リスクを低減しましょう。
本記事は、「日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤」を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。
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【リソース】
- Código de Comercio(商法)
- Código Fiscal de la Federación(CFF)
- COSO「Internal Control – Integrated Framework」
