休日・祝日制度の全体像|強制休日と任意休日の基礎

はじめに

メキシコの労務管理において、休日労働のコスト計算は複雑です。「日曜手当(Prima Dominical)」と「休日出勤手当」は別物であり、さらにそれらが重複した場合の処理も求められます。本記事では、法定休日(祝日)と週休日の基本ルール、および正しい割増賃金の計算方法を解説します。

サマリー

  • 週休制:労働者には6日間の労働につき、少なくとも1日の全給休暇(通常は日曜日)が与えられる(LFT第69条)。
  • 日曜手当:日曜日に勤務する場合、通常の給与に加えて25%の上乗せ手当(Prima Dominical)が必要となる(LFT第71条)。
  • 祝日出勤:法定祝日(Descanso Obligatorio)に勤務する場合、通常の給与に加えて200%(2倍)の支払いが義務付けられる(合計3倍払い)。
  • 重複時の計算:祝日が日曜日に重なり、その日に出勤した場合は、祝日手当と日曜手当の両方を加算するのが実務上の通則である。

詳細

1) 3つの「手当」の違い

混乱しやすい3つの概念を整理します。

  • ① 日曜手当(Prima Dominical):
    「日曜日」にシフトが入っている従業員に対して支払う手当。通常賃金の25%を加算します。
  • ② 週休出勤手当:
    本来の休日(例:日曜日)に休めず出勤した場合、通常賃金に200%(2倍)を加算して支払います(LFT第73条)。
  • ③ 祝日出勤手当:
    法律で定められた祝日(独立記念日など)に勤務した場合、通常賃金に200%(2倍)を加算して支払います(LFT第75条)。

2) 計算例(日給1,000ペソの場合)

具体的な支払額のイメージです。

ケース計算式(基本給+加算分)支給総額
通常の日曜勤務
(シフト制などで日曜が定休でない場合)
1,000 + (1,000 × 25%)1,250 ペソ
祝日に勤務
(平日扱いの祝日など)
1,000 + (1,000 × 200%)3,000 ペソ
(いわゆるトリプルペイ)
祝日が日曜に重なり勤務
(最もコストが高いケース)
1,000 + (1,000 × 200%) + (1,000 × 25%)3,250 ペソ

3) 法定祝日(Días de Descanso Obligatorio)

LFT第74条により、以下の日は強制休日となります。

  • 1月1日(元日)
  • 2月第1月曜日(憲法記念日)
  • 3月第3月曜日(ベニート・フアレス生誕日)
  • 5月1日(メーデー)
  • 9月16日(独立記念日)
  • 11月第3月曜日(革命記念日)
  • 12月25日(クリスマス)
  • ※その他、6年に1度の大統領就任日(10月1日)や選挙投票日など

誤解と理解

  • 誤り:「代休を与えれば、割増賃金は払わなくてよい」
    → メキシコの労働法には「代休による相殺」という概念が明記されていません。祝日に働いた事実がある以上、金銭的な割増支払い(200%)が原則必要です。
  • 誤り:「日曜手当は、日曜が休みの人にも払う」
    → 日曜手当はあくまで「日曜に働いたこと」への対価です。日曜に休んだ人には発生しません。
  • 誤り:「祝日が土日に重なったら、月曜に振替休日になる」
    → 日本のような自動的な振替休日制度はありません(月曜指定の祝日を除く)。土日が祝日で休みの場合、それで終了です。

チェックリスト

  • 年間カレンダーを作成し、法定祝日(月曜移動する祝日含む)を従業員に周知しているか。
  • 給与計算システムで、日曜手当(25%)と祝日手当(200%)の計算ロジックが正しく設定されているか。
  • 祝日に勤務させる場合、事前に書面等で業務命令を出しているか(不用意な出勤を防ぐ)。
  • 選挙年などの臨時祝日を見落としていないか。

まとめ

メキシコの休日労働コストは非常に高く設定されています。「日曜かつ祝日」といった重複ケースでは、基本給の3.25倍ものコストが発生します。正確な計算を行うとともに、不要な休日労働を抑制する労務管理が求められます。

本記事は、『日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤』を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。

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リソース:

  • メキシコ連邦労働法(LFT)第69条・第71条・第73条・第74条・第75条
  • PROFEDET(労働者防衛連邦検察):休日労働に関するQ&A