メキシコ電子会計(Contabilidad Electrónica)|毎月の提出期限とXMLファイルの範囲
はじめに
メキシコでは、国税庁(SAT)によるデジタル監視が徹底されており、その中核となるのが電子会計(Contabilidad Electrónica)です。これは企業の会計データをXML形式でSATへ送信する制度ですが、税金の申告(Declaración)とは期限も提出物も異なります。本記事では、対象となる企業、毎月の提出期限、および監査時にのみ必要となるデータの違いについて整理します。
サマリー
- 義務内容:会計システムで生成したXMLデータを、Buzón Tributarioを通じてSATへ送信する。
- 毎月の提出物:基本的には「月次試算表(Balanza de Comprobación)」のみを送る(仕訳帳は監査時のみ)。
- 提出期限:法人の場合、対象月の翌々月の3日まで(例:1月分は3月3日まで)。
- 免除規定:RESICO(信頼簡易制度)を適用している法人は、帳簿作成義務はあるが、毎月のXML送信は免除されている(2024年時点)。
詳細
1) 提出すべき3種類のXMLファイル
電子会計には3つのファイルタイプがありますが、提出タイミングが異なります。
| ファイル種類 | 内容 | 提出タイミング |
|---|---|---|
| ① 勘定科目表 (Catálogo de Cuentas) | SAT指定コードと自社科目の対照表 | 初回、および科目が変更/追加された時のみ。 |
| ② 試算表 (Balanza de Comprobación) | 各勘定科目の月次残高 | 毎月必須(これがメインの実務)。 |
| ③ 仕訳帳・補助簿 (Pólizas y Auxiliares) | 個々の取引仕訳データ | 要請があった時のみ (税務調査、還付請求時など)。 |
2) 提出期限(法人の場合)
税金の支払期限(翌月17日)とは異なるため注意が必要です。
- 月次データ:対象月の翌々月の3日まで。
(例:1月分 → 3月3日、2月分 → 4月3日) - 年次修正(Balanza 13):決算修正を含む最終試算表は、翌年4月20日まで。
3) 実務上のプロセス
- 会計ソフトでの紐付け:日々の記帳において、各仕訳に必ずCFDIのUUID(電子請求書ID)をリンクさせる。
- XML生成と検証:月次締め後、ソフトから「Balanza」のXMLを出力し、SATのバリデータ等で形式エラーがないか確認。
- 送信:SATポータルのBuzón Tributarioからe.firmaを使ってアップロード。
- 受領証(Acuse):送信後に発行される「Acuse de Aceptación」を必ずダウンロードし、保存する。
誤解と理解
- 誤り:「毎月、すべての仕訳データ(Pólizas)をSATに送らなければならない」
→ 誤りです。 毎月送るのは「試算表(残高)」だけです。詳細な仕訳データは、監査(Auditoría)が入った場合などにのみ提出義務が生じます。 - 誤り:「税金の申告期限(毎月17日)までに電子会計も送る必要がある」
→ 誤りです。 電子会計の期限はさらに遅く、「翌々月の3日」です。会計データと申告数値を一致させるための猶予があります。 - 誤り:「RESICO(簡易制度)になったから、帳簿自体つけなくていい」
→ 危険な誤解です。 「XML送信義務」は免除されますが、連邦税法(CFF)に基づく「帳簿作成・保存義務」は残っています。税務調査に備え、会計ソフトでの記帳は必須です。
チェックリスト
- 毎月の提出期限(翌々月3日)をカレンダーに登録しているか。
- 「勘定科目表」に変更があった際、最新版をSATへ再送信したか。
- 会計ソフト上で、仕訳とCFDI(UUID)の紐付けが100%行われているか。
- 送信後の「受領証(Acuse)」を毎月PDFで保存しているか。
- 年次決算修正後、4月に「13ヶ月目の試算表」を送信したか。
まとめ
電子会計は、SATが企業の脱税や不整合を見つけるための「一次データ」となります。申告した税額と、提出した試算表の数値が一致していることが大前提です。期限管理を徹底し、CFDIとの完全な整合性を維持することが、監査リスクを下げる鍵となります。
本記事は、『日系企業が安心してメキシコで事業を展開できるための知識基盤』を目的に作成しています。今後も実務に役立つ情報を発信してまいります。
関連記事:
リソース:
- SAT公式:電子会計技術付録(Anexo 24)
- 連邦税法(CFF)第28条(電子会計義務)
- 国税庁規則(RMF)2.8.1.6.(提出期限の規定)
